鍋とぶじゅうたん

おぼえがき。

孤狼の血を読んだ

・文字になっても迫力のある広島弁(呉弁)が最高だ。独特のイントネーションが頭の中で再生される。

・映画も原作からエピソードの取捨選択が上手い具合に出来ている。尚且つバイオレンスさを味付けして、映画独自の迫力を出している。あれもこれもオリジナルかよ~と確認しつつ読んでいたのだけど、個人的に一番狂気を感じた部分(日岡があるものを探し回るところ)、あれも映画オリジナルだったのかと驚いた。

・何よりも大上さんの人柄がしっかりと伝わってくるから、映画でラストを知っているのに辛くて読みながら泣いた。煙草屋のカツさんしっかり生きるんやで…。

・尾谷組の仁義を通すやり方、加古村(&五十子)の何でもやり放題なところも同上。

・映画で大上さんは一般市民の見方だと明言されていたけど、原作ではその言葉なくとも大上さんにとって大事なものがなにか伝わってくる。2時間と限られたなかで伝えなきゃいけないから映画も時には言葉にしなきゃならんのだろうな。

・映画を観た後なのに、全然俳優陣の顔が浮かんでこなかった。映画は映画、原作は原作の雰囲気が確たりと出来上がっていてぐいぐいと引き込まれる。昭和六十三年・呉原の初夏の暑さが伝わってくるよう。

・映像化してくれてありがとう。よき原作に出会えた。

 

・次読むもの/夢の検閲官・魚籃観音